Enlighten VR開発日記ープロトタイプの作成

記念すべき第1回Enlighten VR開発日記へようこそ!

この日記では、デモの開発工程の裏側をお見せします。革新的で新しいライティング方法をデモするためのEnlightenアプリケーションをどのように作っていくのかご説明していきたいと思います。

私たちは、仮想現実の世界で間接照明がいかに重要であるかということを証明したいと思っています。そこで、12月7~8日のVRXカンファレンスでお披露目するデモの開発を始めました。

去年のVRXカンファレンスでは、SubwayデモをVRに移植しました。今回は、VRで究極のEnlighten体験を表現できるようなデモにカスタマイズします。まずはプロトタイプの作成です。メイン要素には何を入れるのか、どのように実装するのかを決めます。

この開発日記には、このプロトタイプ作成の最初の段階を書いています。次の日記では、第2段階にフォーカスします。アイディアを深く掘り下げ、1つか2つにまとめてきちんとプレイできる状態にします。その後は、プレ/プロダクション段階です。参照を収集し、アートスタイルを定義し、デモの最終版を開発します。

なぜプロトタイプを作成するのか?

プロトタイプ作成段階は、高いレベルのアイデアを馴染みのあるコンテンツを使ったプランに落とし込むという点で重要です。プロジェクトの土台となり、方向性や範囲を示します。

これにより開発の「不確定要素」を把握できるようになります。Enlighten VRショーケースの場合は、主に以下の要素があります。

  • ストーリーテリングはどのように使うのか?
  • ゲームとエンタープライズの両方の市場に関係するコンテンツは何か?
  • ターゲットにするプラットフォームは?制約は?
  • 体験の長さは?
  • 間接光の影響をもっとも良く見せるには?
  • VRのライティングでパフォーマンスを制約するものは?

ターゲットプラットフォーム

最善のデモ体験を届けるには、適切なVRプラットフォームを選択することが大事です。Enlightenは、すべてのVRプラットフォームをフルサポートしており、それぞれに独自の良さと課題があるので、数ある中から1つを選ぶのは大変です。

Enlightenはモバイルプラットフォームをフルサポートしていますが、モバイルVRプラットフォームは選ばないことを早い段階で決めました。Ice CaveCaveVRなど、既にいくつか作っているからです。今回は、HTC Vive Oculus RiftやPlayStation VRなどのモバイル以外のVRプラットフォームを検討しました。

検討したこと

Enlightenのアートチームは、今回使うことになるHTC Vive Oculus RiftやPlayStation VRでVRデモを開発するための知識をすでに多く持ち合わせていました。エンジンにはUnreal Engine 4を使うことが早い段階で決まりました。VRを高度なレベルでサポートしていて開発が容易になるからです。

プロトタイプの開発に取りかかる前に、いくつか検討すべきことがありました。

  • ライティングとの相互作用を追加するためモーションコントロールの入力を検討する必要がある。
  • デモを複数の人に見せる場合は、短くて直感的な体験が理想。
  • 見るからに明らかであるが、ヘッドセットの内側は非常に暗く、光はまったく通さない。何かシームレスなやり方で、プレイヤーにデモを見せることになる。
  • スペースの中をナビゲートするには、体験というコンテキストにおいて十分に注意と検討を重ねる必要がある。従来のFPSナビゲーションでは乗り物酔いのようになりかねない。
  • 最後に、十分な没入と存在感を得るにはさまざまな要素が適切な量必要。パフォーマンス、画質、音声、ナビゲーション、相互作用のすべてが適切な量で与えられるときに魅力的な没入型体験を得られる。

Oculus RiftとHTC Viveはどちらも、私達のデモの最終版においてそれぞれの良さと課題があることが分かりました。そのため、それぞれのプラットフォームに対して基本的なプロトタイプのシーンを作成し、主要な要素を掘り下げていくことにしました。

プロトタイプ:

プロトタイプ1:光と音声

Prototype 1

プロトタイプ1

プラットフォーム: Oculus Rift

目的:シーンにおける光の相互作用と音声の影響を測る。

コンセプト:

シンプルな部屋に、さまざまなオブジェクトがあって「ホタル」の光が2つ飛び回っており、色や明度が変わる。ユーザーはホタルの光の色、可視性や動きを制御できる。その動きに合わせてグローバルイルミネーションが更新されたり動きに応答したりする。光が変化するほか、ホタルは飛び回る音もかすかに出していて、3Dオーディオで聞くことができる。これは、その位置やビューワからの距離を示す合図となる。

結果:

行動反応により、ホタルに様々なキャラクターや個性が与えられました。オブジェクトにぶつかると赤に変わり、怒りの感情を表現します。ここでは、光源自体が感情を語るための効果的な手段として使われています。ホタルとの対話は、VR内での没入体験を広げるために不可欠です。3Dオーディオはユーザーとのやりとりやユーザーの注意を制御する際のライティングをしっかりサポートしていました。

プロトタイプ2:ナビゲーションと対話

Prototype 2

プロトタイプ2

プラットフォーム: HTC Vive

目的:

ライティングの影響の他、さまざまなナビゲーションや相互作用のテクニックを掘り下げていく。

コンセプト:

たいまつだけを持って完全に真っ暗な部屋に入っていく。鍵の閉まったドアがある。4桁の暗証番号を探して解錠しなければならない。たいまつとナビゲーターコントローラだけを使って、ユーザーは部屋の中を動き回り、ライティングに関係するパズルを解いてドアを開けるための暗証番号を1つずつ手に入れていく。すべてのパズルを解いて暗証番号を入手すると、ドアが開く。

結果:

ライティングを使い、様々な方法でパズルを解いていく中で、ライティングをゲームの仕組みに使うと範囲が拡がりとても効果的であることを示せました。これは、従来のゲーム開発では活用されてこなかったことなので興味深いと言えます。VRのゲームプレイにEnlightenが新しいアプローチを示すことのできる良い機会となりました。

元々は、VRゲームプレイの中でたいまつの光がどのように機能し感じられるのかを調べようというのが、このプロトタイプを作った理由でした。このことは最初に達成しましたが、目的や文脈がなくては価値がありません。そこで、「部屋から脱出する」体験を制作することにしました。パズルを解くのに使うのは光だけ(たいまつのいろいろな機能)です。この目的に沿って、より没入度の高い体験を作り出しました。

プレイのテスト中は、たいまつをあまり直感的に扱えないという人が何人かいました。たいまつはリアルワールドのオブジェクトであるので、誰もが同じやり方で扱います。「リアルワールド」の対話的なオブジェクトを作成するときは、リアルワールドの機能や振る舞いも再現しなければなりません。

環境に基づいたパズルを解かなければならないといって環境とやりとりすることは、とても楽しく没入できる体験であることが証明されました。このプロトタイプは、たとえば、ユーザーが自分の手や足をついたり、腕を伸ばしたりするようにしてプレイスペースを広く使います。これにより、新鮮でこれまでと違うタイプの楽しいゲームプレイを実現する画期的なアプローチであり、VRで特に顕著であることも分かりました。ただ、どのようなナビゲーションシステムが良いのか、というのはユーザーにより異なります。つまり、デモの場合はより直感的であるか、ユーザーが柔軟に選択できるようにする、という意味です。

プロトタイプ3:ゲームプレイと環境

Prototype 3

プロトタイプ3

プラットフォーム: HTC Vive

目的: 複数の動的な光源を補完し、パフォーマンス統計を得る環境を掘り下げる。

コンセプト:

ユーザーは、隙間がたくさんある暗い迷宮に置かれる。ユーザーは、光るボールが出てくるコントローラとショベルのようなバットを与えられ、環境の中を移動する。ボールはサーフェスに当たると光り、さまざまに波打つ色で通路を照らす。

結果:

レベルの周りでボールを打つのは直感的であり、この体験は物理的にもサポートされるので満足のいくものになりました。レベルはシンプルですが、面白い間接光効果を出すには、壁や穴、その他の支持物と三次元の相互作用が必要です。たとえば迷宮の中をうろうろしているとき、壁の後ろに光るボールを投げると目を見張るような間接光効果が得られます。特に複数レベルで非常に見応えがあります。迷宮の設計を変えて、より垂直型のゲームプレイ(三次元)や破壊要素を有効にすると、よりダイナミックで挑戦しがいのあるレベルが作られます。複数のプレーヤーがプレイできるようにし、得点メカニズムやさまざまなボールサイズも加えると、より魅力的な体験が実現します。

パフォーマンスの内容については、コチラもご覧ください

結論

こうしたプロトタイプを開発していく中で、私達アートチームはすべてのVRプラットフォームにおいて価値ある経験を得られました。Oculus Riftには、セットアップの簡単さ(このデモをお客様とのミーティングに持っていく場合を想定)や表示品質が素晴らしいなどの良さがあることが分かりました。ただしコントローラ周りや、デモ最終版でどのように効果的に使うか、についてはまだ多くの作業が必要です。

HTC Viveは、いろいろな点で将来性があります。表示品質は他を凌駕しており、VRでライティングの重要さをお見せするには最適です。Viveのコントローラも独自の対話機能を備えており、ライティングを使ってプレイするための画期的な方法を作成でき、これがより没入度の高い体験につながります。

この点で、私達はHTC Viveをターゲットプラットフォームにしていくことになると思います。

コントロール、ナビゲーションやパフォーマンスといった、実装しなければならないさまざまな重要要素について、プロトタイプのおかげで価値のある気づきを得られました。これらは、プロトタイプ作成の次の段階でさらに掘り下げていきます。決定的なVR Enlighten体験を見極めるには、コンテンツ周りで、まだまだたくさんの作業が必要です。

次回の開発日記を、どうぞお楽しみに!

Enlightenについての詳細は、Enlightenのサイトを訪問されるか、評価版を入手してください。